お彼岸のお墓参りの前に・・・

もうすぐ秋のお彼岸です。この時期になると、テレビや新聞でお墓参りの様子を目にします。ある調査によれば、お盆やお彼岸にお墓参りをする日本人の割合は75%以上ともいわれています(※)。

そして多くの寺院では「彼岸会ひがんえ」の法要が営まれます。ここ徳養寺でも、墓地や納骨堂に多くの方がお参りに来られ、また3日間にわたる法要にもご参詣いただいています。

今回はお彼岸の由来や意味について少し解説したいと思います。

1.いつ、どこで始まったの?

仏教の発祥がそもそもインドなのだから、お彼岸の風習もインドで始まったのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本独自のものなのです。

言い伝えによれば、もっとも古いところでは、聖徳太子の時代に始まったものとされています。ただ、史料の上では、桓武天皇が弟・早良親王の祟りを怖れて、春分・秋分の日前後の7日間、各地の僧侶たちに命じてお経を上げさせたことが、彼岸に関する儀式のもっとも古い記述とされています(806年)。この命令には、日本の民俗信仰などとの関係も指摘されたりもしているのですが、かなり古い時代から仏教の行事として日本に根付いていたことは確かなようです。


2.なぜ「彼岸」と言うの?

現世(此岸しがん)に対するさとりの世界を指す「彼岸」という名称にまつわる一連の慣習は、サンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜はらみつ波羅蜜多はらみた
)」に由来するといわれています。「パーラミター」とは、この迷いの世界(此岸しがん)からさとりの世界(彼岸)へと達するための完璧な実践という意味であり、「到彼岸とうひがん」とも訳されます。

すなわち、「お彼岸」とは、さとりの世界(彼岸)へと思いを向け、そこへ到達するための仏道を実践させていただく機会のことなのです。

お寺の本堂に安置されているご本尊の華やかな飾り(荘厳しょうごん)は、阿弥陀仏のさとりの世界(彼岸)、極楽浄土の様子を表したものとされています。

それゆえに、お彼岸にお墓参りをされる際には是非とも本堂にもお立ち寄り頂き、ご本尊である阿弥陀仏(阿弥陀如来)の前で手を合わせ、そのさとりの世界である極楽浄土へと思いを馳せ、お念仏申させていただくことも大切にしていただければと思います。「なもあみだぶつ、なもあみだぶつ・・・」

3.なぜ、春分・秋分の日の前後なの?

お彼岸という習俗がなぜ春分•秋分の日の前後7日間に営まれているのかは良く分かっていませんが、2つの理由がよく挙げられます。

一つ目の理由は、「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、この時期が何をするにしても快適な季節で、仏道の実践に適しているからというものです。

二つ目の理由は、春分・秋分の日に太陽がちょうど西に沈むため、西方にあるとされる阿弥陀仏の極楽浄土を想い、そこに往き生まれること(往生)を願うのに適しているからというものです。

いずれにせよ、古来より、仏教に関わるのに良い時節と考えられてきたのは確かなようです。

4.さいごに

これまでされていた方もそうでない方も、今後、お彼岸にお墓参りをされる際は、本堂のご本尊へもお参りいただき、法座(仏教に関する講話会)に参加して、仏様の教えに触れていただければと思います。(合掌)

徳養寺の2018年秋季彼岸会法要  :  9月19~21日

 

(※)石井研士『データブック現代日本人の宗教 増補改訂版』新曜社、2007年。

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